少女は卒業しない/朝井リョウ

◆少女は卒業しない/朝井リョウ
少女は卒業しない


今日、わたしはさよならする。図書室の先生と。退学してしまった幼馴染と。生徒会の先輩と。部内公認で付き合ってるアイツと。放課後の音楽室と。ただひとり心許せる友達と。そして、ずっと抱えてきたこの想いと―。廃校が決まった地方の高校、最後の卒業式。少女たちが迎える、7つの別れと旅立ちの物語。恋愛、友情、将来の夢、後悔、成長、希望―。青春のすべてを詰め込んだ、珠玉の連作短編集。


ここまで青春を感じさせる小説も珍しい。
大好きな作家さん、朝井リョウさんの作品です。執筆ペースがえらく速いけれど、社会人になった今、そのペースは落ちてしまうのかなぁ。


卒業式の、7つの物語。
男性作家とは思えないくらい、少女を描くのが上手い。程よく汚くて、抜群にかわいい。朝井さんの小説はいつもとてもきれいで、なのにちっとも嫌じゃない。変な表現だけれど、素直な気持ちです。


◇エンドロールが始まる


のっけからやられた。
私の大好きな、大好きな大好きな女の子。少女漫画っぽくもあるけど、顔を読者が想像できるのが、小説の魅力。顔が見えない方が、魅力的なこともきっとある。私はね、やっぱり、優等生が好きなんですよ。で、子供を子供として大人に扱う大人も大好き。意味わかります?とにかく、素敵なの。これが一番好きかなぁ。


◇屋上は青


殻を破る瞬間って、人のことでも清々しい。
卒業式ってそんなにすごい行事じゃないのに、パワーをもらってしまうひた向きさに憧れる。彼女のこれまでの生き方が、あーいるいる、そういう子、って感じで、なんだか哀しくなった。良い子って、かわいい。でもきっと、この日が終われば元に戻る。でも微妙な変化があるんだよね。


◇在校生代表


これは、どうかな。
あまりに小説すぎて、ちょっと。こういうことされたら嫌だし、設定が好きではなかったけれど、彼女の語りには悔しいかな、やはり惹き込まれてしまいました。高校生の恋って良いよね。


◇寺田の足の甲はキャベツ


タイトルは好きじゃないけど(笑)内容は一番グッときた。だって、あまりに現実だったから。若いって眩しい。若いって嬉しい。でも、若いって哀しい。彼らの決断が、私は好きだ。


◇四拍子をもう一度


なんでかな、高校時代にバンドやってた、みたいな人が苦手です。仲良くなれば関係ないんだけれど、入りがそれだと、申し訳ないと思いつつ、一線引いてしまうのです。それはどうやら小説でも一緒のよう。悪い癖だなぁ。


◇ふたりの背景


朝井さんは、女子の友情をよくわかっていらっしゃる。乙女心は複雑なのよ。気持ちがわかるのがなんだか哀しい。でもやっぱり綺麗なので、自己嫌悪に陥ったりはしないのです。朝井さん、モテそう。


◇夜明けの中心


最後はこれまた、しっかり小説しています。
高校生より、もっと若く見える2人。場面を想像するとどうしても少女漫画なのだけれど、品があるのがすごい。「夜明けの中心」、タイトルの意味は……忘れました。