夏が僕を抱く/豊島ミホ

夏が僕を抱く (祥伝社文庫)

夏が僕を抱く (祥伝社文庫)


洗濯が終わったピーって音も
なくなってしまった飲み物も
全て無視して読み続けてしまいました。


幼なじみをテーマにした短編集です。
最近友人と
「イケメンの双子かイケメンの幼なじみ欲しいよね」
という話題で盛り上がっていたのでタイムリーでした。
イケメンじゃなきゃ嫌です。


◇変身少女
出た!豊島ミホ
と思いました。勇気が100%だともう頑張るしかないのは本当だと思いました。
幼なじみが不良になるから私も不良になる。
短絡的で生産性に欠けていておまけに非現実的。
人には向き不向きがあるけれど、同じだけ憧れも大事ってことでしょう。
でもきっと男女が逆ならこんなふうにはならない。
桐島、部活やめるってよ』の前田君を見ていればそう思う。
男女がこのままでもなかなかこんなふうにはならないけれど、
そこが、出た!豊島ミホ!な部分なのです。
花京院の一言に不覚にもきゅんときた。
これがあるからみんな、幼なじみに憧れるのではないでしょうか。
意味のわからないことばかり書いてしまった。


◇らくだとモノレール
なんて素敵な物語。
男の子は思いっきり子供な部分と思いっきり大人な部分しか持っていないのかもしれません。
地元から離れていく人々を見るのは残留組にとって辛いのでしょうか。同い年の幼なじみだとここまで寂しくないんじゃないかなーと思いました。そんなことないかな。
友人との話で「1つ上の幼なじみが良い(1つ下もいると尚良い)」と言っていた私にとってらくだくんは憧れそのものでした。
予備校の先生をオカズにオナニーしていたっていいよ。
ただベッドがきしむほどするのは少し引くよ。
勢い余って変なことを書いてしまった。


◇あさなぎ
研吾くんは苦手だ。
姉とキスしていた(小6のとき)幼なじみと大人になってお見合いをする物語。
女の子に夢を見ていると男の子は情けなくなってしまうのでしょうか。
姉妹というものは複雑ですね。私は姉と遠い関係なので単純ですけども。
主人公園ちゃんも研吾くんもどちらも苦手。
でも園ちゃんの「ラクして生きたい」にはものすごく共感してしまい、自身の未来を憂いてしまいました。だけど私は出会い系はしないなぁ。
園ちゃんは筋が通っていてかっこよかったです。


◇遠回りもまだ途中
ヒゲデブメガネ・素人童貞・浪人生の幼なじみと、かっこいいけど自己中な先輩彼氏。
幼なじみの岬は女心(有里限定?)がわかっていてでも自然でとってもかっこいい。
小説だから完全に岬が好きだけれど、漫画や実写だったら話は違う。
太っている人が苦手な私はダメな女だ……。
でも先輩のダメ男っぷりがやばい。どれも致命的ではないだけに性質が悪い。
岬・有里・先輩の3人が今後どうなるかが気になります。
ヒゲもメガネも浪人生も全然良いけど、デブと素人童貞はいただけないなぁ。
ただ性格が抜群に男前。世の中の女性(特に若い人)は岬みたいな男性を見つけるべきだと思います。私は嫌です。


◇夏が僕を抱く
表題作が一番好きなのはなんだか悔しい。
唯一の男性目線の物語。自称バンドマンの無職のハネと、同じく無職で従兄弟のミーちゃん、久々の再会。
胸がなくて骨っぽいミーちゃんの身体から色気を感じるハネが素敵。私が貧乳だからそう思うのもわかっているし、ハネは相手がミーちゃんでなければ巨乳が好きなのであろうこともなんとなくわかっています。
「やっぱり、いい」(拒否ではなく、良い、のほう)という言葉は最高の褒め言葉だと思います。「やっぱり」「良い」、言われたい。
ハネとミーちゃんの関係は実際にありそうで切ない。ハネはイケメンだから許されているけれど、職を見つけてほしいです。ハネさん好きです。
「夏が僕を抱く(いだく)」だと思っていたけれど「抱く(だく)」でした。


◇ストロベリー・ホープ
これだけは……護だけは……微妙でした。
「いい」男子は好きだけれど、弱い男子は苦手なよう。
中学卒業と同時に離れてしまう幼なじみ、久々の再会。
「護」に対して「十和ちゃん」と呼んでいるのがなんとも嫌でした。
男の子にはもうちょっとかっこよくあってほしいなぁ。
十和はもう一度山内さんと付き合ってほしいなぁ。
でも、山内さんと別れた理由に納得してしまって寂しい。


◆夏が僕を抱く
読み終えた勢いで書き殴ってしまいました。
最近の豊島さん、好きです。