桐島、部活やめるってよ

桐島、部活やめるってよ

監督:吉田大八
脚本:喜安浩平、吉田大八
原作:朝井リョウ桐島、部活やめるってよ
キャスト:神木隆之介橋本愛大後寿々花東出昌大、清水くるみ、山本美月松岡茉優 他


田舎町の県立高校で映画部に所属する前田涼也は、クラスの中では静かで目立たない、最下層に位置する存在。監督作品がコンクールで表彰されても、クラスメイトには相手にしてもらえなかった。そんなある日、バレー部のキャプテンを務める桐島が突然部活を辞めたことをきっかけに、各部やクラスの人間関係に徐々に歪みが広がりはじめ、それまで存在していた校内のヒエラルキーが崩壊していく。


原作を読んでファンになったのが2年前。
映画化を知ったとき、バカか、と思いました。
あのどうしようもない感情だらけの、けれどただの日常を、どうやって映画にするのだ、と。しかも、通ぶったことを言いますが、監督は吉田大八さん。私はこの人の撮った映画がことごとく苦手だったのです。私の感想は、どうしても原作ありき。だって、原作が大好きなんだもの。


映画が始まったとき、あぁ、ダメだ、と思いました。
2年前に原作の書評を書いたことがあるのですが、その時の私の解釈と極端に違う部分が見えたんですよね。そしてその違いが、大人と、大人初心者の私との違いなのではないかと思ってしまいました。


でも、悪くなかったなという印象。もっとズタボロな映画だと思っていたのです。


桐島が部活を辞めた日から、様々な生徒の立場で描かれていくストーリー。同じ場面を違う視点で何度も、というのは単純に面白かったです。なのに、飽きさせないのがすごい。


原作と同じ感想だけれど、生徒の誰もが、とてもリアル。いるいる、そういう子、という感じ。欲を言えば、原作通り、かすみ(橋本愛)はもっと映画に詳しくあって欲しかったし、前田(神木隆之介)は日本映画フリークであって欲しかったけれど、後者については大人の事情があったのでしょうか、仕方なし。


とはいえ、映画部の前田とタケちゃんが良かった!
神木くんはどんな役をやっても上手いんだなぁと思ったけれど、タケちゃんはもう演技のレベルではなかった。ありゃ俳優さんじゃないね。タケちゃんだね。


「昨日満島ひかりに会っちゃった」
「え、どこで?」
「夢で」
「どんなシチュエーションで?」


運動部V.S映画部(文化部?)の構図はわかりやすかったし、高校生をしたことのある人なら心に響くものがあると思います。終盤、前田が作った台詞を確認する場面は思わず泣きそうになってしまいました。あのタイミング、あの言い方だったから良かったのだと思います。


途中、前田の妄想が具現化していた演出なんかもあったので、合わない人にはとことん合わないかと。隣の女子高生2人なんか、エンドロールが始まった瞬間「意味わかんね」って言ってましたからね^^マナーがなってないなぁ^^


正直、私はこの映画が好きではありません。
感想もこの通りしっちゃかめっちゃかです。
でもこうやって感想を書こうと思い返してみると、言いたいこともたくさんあるし、印象に残っている場面もたくさんあるし、総じてやっぱり、悪くなかったんじゃないかな、と思います。


高校生を終えた人に、原作も映画も薦めたい。そんな締め方で。
あ、でもこれだけは絶対に言いたい。何で前田がベージュのカーディガンを着ているのだ。黒か紺でしょう!