流れ星が消えないうちに/橋本紡

ガリレオシリーズの途中ですが、恋愛小説です。
やるべきことを後回しに読書に勤しむのは楽しいです。


流れ星が消えないうちに (新潮文庫)

流れ星が消えないうちに (新潮文庫)


読了してまず思ったのは、「なんだか女性作家が書いたような物語だったなぁ」でした。そしてはたと、「もしや橋本紡とは女性なのではないか」と思いました。桜庭一樹や中山七里のように、PNの印象と性別が逆なのでは。


男性でした。
代わりに、ライトノベル作家だったと知りました。
半分の月がのぼる空』は映画だけ観ました。


不幸なんて、いくらでもある。珍しくもなんともない。けれど、ありふれているからといって、平気でやりすごせるかといえば、そんなわけはないのだ。


私がこの本を読むに至った経緯ですが。
まず、私は11月まで書店員のバイトをしていました。
新潮社の夏の100冊に、この本が入っていたのです。
しかも、通常3冊ずつの特設コーナーに、この本は特別枠として置いてありました。私の大好きな中村航さんの『僕の好きな人が、よく眠れますように』と共に。


綺麗な装丁と、綺麗なタイトル。
おもしろいのかなー、と。素敵なのかなー、と。
漠然と考えていた結果、ふと立ち寄った本屋で購入してみたわけです。『聖女の救済』と一緒にね。


恋人の加地くんが異国で亡くなり、玄関でしか眠ることのできなくなってしまった奈緒子。家出してきたお父さん。加地くんの親友で今は奈緒子の恋人、巧くん。ガサツだけど優しい巧くんの姉。ゴリラみたいな先輩。不器用な奈緒子の妹、絵里ちゃん。奈緒子の元恋人、加地くん。


数多の登場人物の中で、私は巧くんが好きです。
巧くんと奈緒子のシーンは読んでいて幸せな気持ちになりますし、奈緒子が夜中に泣きだしてしまうところでは切なくなりました。巧くん、なんて優しい男性なのでしょう。


奈緒子も好きだし、加地くんも好きだったけれど、ラストに明かされる加地くんの「男の子」感が私は許せませんでした。そんなの加地くんじゃない、と思いました。加地くんに憧れ続ける巧くんは、加地くんにがっかりしなかったの?私はがっかりしてしまいました。夢見る少女では無いにも関わらず。


連続してミステリーを読んでいたからか、ストーリーの無い恋愛小説はなんだかかったるかったです。繊細な恋愛小説としては、何かが物足りなかったかな。たぶんボクシングが苦手だからです。


うーん、『九つの、物語』を読んだときも思ったけれど、この人の小説のファンにはなれないなぁ。決して嫌いではないんですけどね。