探偵ガリレオ/東野圭吾

毎日をギリギリで生きている気がしています。
ESも履歴書もセミナーの予約票まで余裕を持って作成・印刷できているんですけどね。なんだか精神的にね。だって私、前もって準備なんてしない人生なんだもの。
相次ぐ遅延でギリギリ到着の選考を受けたのがしんどかったのか、それとも昨日の晩ごはんを食べていなかったのがいけないのか、鏡で見る顔が疲れています。


疲れている私にとって、本は麻薬です。
どこにも行かずにお家で読書をしていたい……。
愚痴はこのくらいでやめておきましょう。


探偵ガリレオ (文春文庫)

探偵ガリレオ (文春文庫)


さっそく買って、さっそく読みました。ガリレオシリーズ第1弾です。
驚いたのは2つ。ウツミさんが登場しないことと(漢字を忘れてしまいました)、湯川教授のモデルが俳優佐野史郎さんだということ。文庫解説を務めている佐野さんは福山さんのガリレオをどういう気持ちで見ていたのでしょうか。


第一章 燃える もえる
(突然燃え上がった若者の頭)
第二章 転写る うつる
(池に浮かんだデスマスク)
第三章 壊死る くさる
(心臓だけ腐った男の死体)
第四章 爆ぜる はぜる
(証拠の消えた海での爆発)
第五章 離脱る ぬける
(幽体離脱した証人の少年)


そういえば、驚いたことはもう1つありました。
ドラマを毎週観ていたにも関わらず、第一章しか記憶にない私……。
記憶力には自信があります。現実のことに限定すれば。


連作ミステリーだとは知りませんでしたが、短篇にも関わらずひとつひとつの事件のクオリティが高い。こういったものを読んでしまうと、「ビブリア古書堂」や「謎解きはディナーのあとで」の軽さを実感してしまいます。構成・殺害方法・動機・推理などなど、物理をテーマにしているため理解できないところはありますが、文句なくおもしろかったです。


事件の内容もおもしろいですし、草薙と湯川のやり取りも良い。真相に近付いているのに納得できるまで話してくれない湯川先生が憎たらしい。そういえば、警察と関係のない人物が事件現場を訪れたり捜査情報を教えてもらったり……東野さんの『名探偵の掟』という小説を思い出します。あの小説で批判していたことなんですよね。でもガリレオシリーズのほうが何倍もおもしろい。というより、『名探偵の掟』が、私を東野作品から離れさせた原因なのでした。


ひとつひとつの事件に関わる人々の人間臭さがとても好きです。容疑者にしろ被害者にしろ、ただの証人にしろ、皆さん個性があるんですよね。覚えやすくて、映像的。だからこんなにも読みやすく、人気のある作家さんなのでしょうか。


しばらくガリレオシリーズが続く予感……。