日傘のお兄さん/豊島ミホ

日傘のお兄さん (新潮文庫)





2007.新潮社
author:*豊島ミホ


昨日、選考の待ち時間に読んだ本です。
変わった会社で、待ち時間は本を読んでいてくださいとの事前通達がありました。
私は面接を受けたあと2時間程待ってテストを受けたので、リラックスして読めました。面接と違ってテストはそわそわしません。結果が来るまでそわそわしています。

「あわになる」

主人公は浮遊霊です。
イメージよりもままならない浮遊霊(歩かないと移動できない。念を送ることもできない)として生き(?)ながら、初恋の男性に辿りつきます。
しっとりした良いお話だと思っていたら、結末は予想以上。懐の深い女性ってかっこいい。少し悲しい結末かもしれない。でも幸せな結末です。

「日傘のお兄さん」

表題作。映画にできると思いました。
幼い頃一緒に遊んだお兄さんと再会し、ロリコン疑惑のお兄さんとの逃亡劇。
純愛と呼ばれるものはえてして歪んで描かれますよね。
なっちゃんの側から読んでいるから、応援したくなるなっちゃんとお兄さんの恋。でも傍から見たらロリコンニートと中学生の危ない恋。
無条件で友達を応援したくなる気持ちと似ていると思いました。
お兄さんはロリコンなのか。小さい頃、どうしていなくなったのか。
私のイメージでは、お兄さんは美少年です。それはつまり、何をしても許されるということ。結末には感動してしまいました。それでいてくすっと笑える物語。がんばれ、お兄さん。

「すこやかだから」

すこやかという単語は時にエロい単語なのだと知りました。
すこやかな小学生の物語です。私はもう少し女の子らしくならなければ、と思いました。

「ハローラジオスター」

大学生って色々ですね。
小説で見るとノブオに惚れてしまうけど、現実だったらちょっと無理。
めげないちゃんって怖くてかわいい。
ノブオがノブオでなくなった瞬間、嬉しいよりも寂しさが勝ってしまいました。
しかし、就活話が出てくるとは思ってもみなかったので、心が少し折れました。
この短篇だけは帰りの電車で読んだのでね。電車に乗る前にお祈りメールを受信していたのでね。ははん。