アニバーサリー/窪美澄

アニバーサリー





2013.新潮社
author:*窪美澄


3.11
東日本大震災の記憶は新しいものの、すでに2年が経過しているという事実。
当時生まれた子供たちが、2歳を迎えようとしていること。
「母」の小説をあまり読んでこなかったので、窪さんの小説を読むといつも自信がなくなります。この分野において、私は欠陥していると思うから。

戦争を生き抜き、母と仕事を両立させる晶子。
戦争を終えたくましく生きた仕事人、千代子。
母でありながら、仕事と両立させることができなかった真希。
母を苦手とし、仕事も恋愛もうまくいかない中、震災と同時に母になった真菜。

晶子と真菜がメインの物語だけれど、色々な女性と母がいました。
女と母親を両立させることは今の時代でも充分難しいのであろう。
さて、もうすぐ22歳の私、この先どうなっていくのかな。

暗くて悲しい真菜の物語のなかに、晶子というひとすじの光が差します。
晶子はいまどき珍しいくらいのおせっかい。正直私は、煩わしい。
それでも頼りたくなるときは頼りたいのも事実。
いくつになっても、年長者はなんだってできると信じています。
人生の先輩は尊敬できない人も多いけど、その何倍も、尊敬する人だらけ。

カメラを手に入れるため、友達を失わないため、男を相手にする真菜。
真菜の親はたしかにひどいとは思うけど、結局のところ、真菜がバカなんだな。この先、真菜の娘の絵莉菜はどう育っていくのでしょう。私は母になる自信もやる気も無いので、千代子の言葉が嬉しかった。

窪さんの小説家デビューは数年前。
綺麗事とそうでないことが入り混じった小説。
晶子の言葉が一番窪さんだと思いました。

アニバーサリー、記念日。
タイトルに付けた意味を感じるには、私はまだまだ若い。