世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド/村上春樹

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)新装版 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)新装版 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)新装版 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)新装版 (新潮文庫)


不思議なことが5つあります。


【1】これを読むのに1年以上かかったこと。
私はこの本を自身の成人式後に買いました。成人祝いに頂いた図書カードで買ったからです。なのに、もうすぐ22歳。
買ったまま放置していたわけではございません。時々読んで、時々やめて。すごく丁寧に読んだ気がしています。
ノルウェイの森』は一気に読んだのに、これは対極です。
これほどまでに時間をかけて読んだ本はありません。
けれど、不思議と、内容はいつ読んでもしっかり覚えていたんですよね。

おかげでお気に入りのブックカバーの折り目がしっかりついてしまいました。
かわいいでしょ?ちなみにハードカバー用のブックカバーはシンプルな赤です。かわいいよ。


【2】村上春樹好きな母のこと。
実家に置いてあった『ノルウェイの森』を読んだあと、母に「どれを読んだらいい?」と尋ねました。母の一番好きな作品が、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』だったのです。
母がこの本を読んだのは大学生のとき。20年以上前のことです。
なのに私とこの本の話ができるのです。
「最初のエレベーターのとこがおもしろいよね」
「一角獣のほうは微妙なんだよね」
やみくろ怖いよね」
などなど。
これに限らず、読んだ本の内容を鮮明に覚えている母。
丁寧に時間をかけて読んでいるからでしょうか。
雑に読んでいるつもりはありませんが、私にはできない芸当なのです。
読んだ本の内容は3日で忘れるのが常です。嘘です。

普段、まったく同じ本を読まない私と母(と弟)。
私が村上春樹を読んでいることを知って喜んでいた母。
母「下巻は持っているの?」(上巻を読んでいた頃)
私「うん、買ってある」
母「なんだ。まだなら私のあげようと思ったのに」
村上春樹を読むときは、実家のものを読もうと思いました。


【3】「僕の言っていることがわかるかい?」がわからない。
この本は現実世界でありながら、現実離れしたお話です。
村上春樹の書く文章はとても読みやすいのですが、内容は文系脳の私には難しかったです。作中で様々な人物が「わかるかい?」と聞き、それに必ず「わかるわよ」と答える人たち。「私にはわかりません」と思いながら読んでいました。少し辛かったです。
だから私は、この小説を半分も理解できていないのかもしれません。


【4】なぜだろう。
理解できていないのに、なんだかとてもおもしろかった気がします。
「気がします」というのがぴったりな表現です。
自分の感想なのに、おもしろかった「気がします」


【5】
書く前は不思議なことが5つあったはずなのに、書いてみたら4つしかありませんでした。あと1つ、なんだったんだろうか。


世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は、「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」が順々に出てくる小説です。
私は母同様、「ハードボイルド・ワンダーランド」が好きでした。主人公と、図書館のお姉さんに惚れる。