ふちなしのかがみ/辻村深月

ふちなしのかがみ (角川文庫)

ふちなしのかがみ (角川文庫)


今週は就職活動をお休みぎみです。
基本的に怠惰な私は、頑張り続けるのが難しいみたい。
やるしかないとわかってはいるけれど。


これを読んでくださっているあなたが、できれば今、後ろめたい気持ちでありますように。


辻村さんのあとがきが今の私にぴったりでした。
それにしても、おもしろかった。


辻村さんの作品を読むのは二度目。
読みたい読みたいと思いつつ、長編が多いので敬遠しがちでした。私は完結まで2冊以上かかる小説が苦手で、なかなか読みません。活字苦手なのかしら。


この本は長くないし、タイトルが気に入ったので手に取りました。
短編集で、ホラーだったとは知らなんだ。乙一さんとか好きな人。


◇踊り場の花子


トイレの花子さん、階段版。階段の怪談というダジャレは、作中で相川さんが言っていたものです。
どっきどきしました。難解な物語なのにすごく読みやすくて、場面が浮かんできます。
最後の最後までハラハラさせられて、でも少しずつ回収される伏線に読み返したりして、結局最後はどういうことかわからない。いいように操られる読者。
ホラーという面では、この短篇が断トツで面白かったです。


◇ブランコをこぐ足


次はコックリさん。これもおもしろかったなぁー。
小学生の頃から教室内格差なんて考えていたっけ?という疑問はありましたが、少女たちの醜い思いには身に覚えがありました。
女性作家の描く女性は突き刺さります。
小さい頃から女は女ですね。


◇おとうさん、したいがあるよ


誰にも共感ができない短篇。これを読んでいて乙一さんを連想したのでした。
結局真相はわからないまま、真相を想像するヒントだけばらまかれて、まったく回収されませんでした。そもそも真相など無いのでしょうが。
死体が計15体程登場したのでは……?人は死ぬと1人ではなく1体って数えるんだなぁーということを考えていました。
あ、掃除機の妄想だけは共感してしまった。


◇ふちなしのかがみ


表題作。一番きれいにすべてを回収してくれた気がしました。
ホラーだけれど、枕に「ある意味」とつけてもいいような、現実にも起こりうるホラーでした。
オチは想像できるのだけれど、それでも抜群におもしろかったです。


◇八月の天変地異


最後の最後に綺麗な物語。少年のひと夏の成長が描かれています。
これを読んでいて、今の今まで忘れていた小学生の頃のしょうもない嘘を思い出してしまいお恥ずかしい。見栄を張るのは男の子も女の子も同じなのかも。
秘密基地って誰でも作るのかしら。私は作りました。あの頃のアクティブさはどこへ……。


◆ふちなしのかがみ


ホラーでありミステリーでもあるので、内容を紹介しづらいんです。短篇だからか、まったく無駄がなく一気に読ませる小説でした。おもしろかった!
辻村さんの本は二作中二作とも好きなので、そのうち三作目にすすもうと思います。