ひらいて/綿矢りさ

紀伊国屋書店新宿本店にて開催されていた「ほんのまくら」フェアが話題になりましたね。私も一度訪れましたがあまりの人だかりにすごすごと退散しました。たぶんこのときに『神様のカルテ3』とか『お友だちからお願いします』とか購入したんだなぁ。


なぜこんな話をするのかと言うと、私が今回読んだ本は、ほんのまくらと読後感が全然違っていたからです。


彼の瞳。


それだけ読んで、おぉ、と思いました。
ん?他の人はそんなこと思わない?でも、私は思ったのです。


◆ひらいて/綿矢りさ

ひらいて

ひらいて


なんじゃこりゃ。


というのが私の読後感。
綿矢りさはいつまでも綿矢りさだなぁと思いました。
そういえば、最近彼女、執筆スピード上がりました?『勝手にふるえてろ』『かわいそうだね?』からあまり時間が経っていなような。


主人公木村愛は、同級生のたとえ君が好きで。たとえ君が好きすぎて、友達とのいざこざにも、迫る受験にも、興味を失ってしまう。彼女の興味はたとえ君と、その彼女の美雪。美雪に近付き、流れで美雪と肉体関係を持ち、なんやかんやで、なんやかんや。


綿矢りさの描く女の子は、大人しめの女子(『蹴りたい背中』とか)でも明るい女子(『ひらいて』とか)でも根本的には変わらない。自由で、変な自信に満ちている。ところで彼女らのことを、豊島ミホに似てるなぁと思ったのだけれど、それはまた次の記事にて。


たとえ君の魅力がわからない。
美雪の魅力がわからない。
愛の魅力が一番わからない。


たとえ君の愛がわからない。
美雪の身体がわからない。
愛の愛情表現がわからない。


高校生がわからない。
大人がわからない。


「ひらいて」って、一体何を?


なのに、寝る間も惜しんで読んでしまいました。
寝るまで本を読もう。綿矢りさなら途中でやめても平気かな。
と思ったら、最後まで。え?ってなりました。なんで最後まで読んでるの?このわけのわからない物語を。


私はこの小説に出てくる人物が一人残らず苦手だ。
この小説そのものも苦手だ。
いつもそうだから、綿矢りさが苦手だ。


なのに作品が出る度読んでしまう。
中毒みたい。


なのに、綿矢りさの小説を読むと、私の中の毒気が吸われていく。


『ひらいて』がわからない。
綿矢りさがわからない。
この感想が一番わからない。


どーん。