生まれる森/島本理生

◆生まれる森/島本理生

生まれる森

生まれる森


忘れられない恋を、したことはありますか?


私はありません。忘れられないということは、忘れたいということだと思うから。同時に、忘れたくないということでもあるのでしょうけれど。


主人公の気持ちは未練だけれど、未練という単語から感じる嫌悪感はありません。心の中に大事にしまっている感じ。新しい恋をしようという積極性は皆無でも、敬遠しているわけでもない。それはただ落ち着いた大人の女性を感じさせるのです。


タイプは全然違うのに、妙にウマが合う友達っていますよね。そういう人って、丸っきり気の合う友達と同じくらい特別だと思います。彼女らの関係性が心地良かったです。


……ここまで書いてみたけれど、私、この小説、断片的にしか覚えてないんですよね。読んだの結構前ですし、元々読んだ本の内容忘れやすいんですよ。2回読んでもまたびっくり、という特典はありますがね。こういうときは困ります。あ、今、主人公がネットカフェでバイトしていたことを思い出しました。だから何。


主人公の女の子が日々を生きて、陽気な友達の家族に巻き込まれていく。そんな物語だったような気がします。とても日常的で、劇的な物語ではないけれど、心地良い。印象はそんなところです。『生まれる森』というタイトルが、とても好き。


感想を書くために本をめくることもせず。いえ、ただの怠惰なのですけども。タイトルを見ても中身が思い出せず、だけど読んでいたときの感情は思い出せる。それもまた、素敵なことではないでしょうか。とか言って逃げてみる。


この時期『ナラタージュ』を読んだりプチ島本理生ブーム。積読本に控えるは『あられもない祈り』です。女性作家さんにはあまりハマらないので、嬉しいです。しかし、毎度思うのだけれど、こういう物語を書く方の旦那さんが、ああいう物語を書くのね、と。人間っておもしろいなぁ。結局、全然本の内容に触れない私なのでした。