KAGEROU/齊藤智裕
そしてまだ続く腹痛……。
◆KAGEROU/齊藤智裕
- 作者: 齋藤智裕
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2010/12/15
- メディア: 単行本
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言わずと知れた俳優水嶋ヒロさんのデビュー作です。今更!
ところで次の作品とかあるんかなぁ。それとも俳優業に戻るのかしら。
なぜ今更この本を読んだのかというと、ブックオフで100円だったからです。それだけ売れたってことですもんね。話題になった当時、普段読書とは縁の無い方々から感想を求められましたもん。読んでないっちゅうねん。って感じでした。
でも読んだので感想書きますよ。今更!
ボロボロに言ってやろうかと思ってました。
そもそも私は俳優としての彼もあまり好きでないのでね。「わたしたちの教科書」とか売れない頃は情けない役が多くて好きだったけれど。先入観無しで読みたかったけれど、さすがに無理ですよね。
と思ったけれど、うん、私、好きかも。
主人公ヤスオは自殺志願者。本気で自殺しようとしていたところを呼び止められ、死ぬなら臓器を提供するよう求められる。そのための手続きを進めながら、彼の心も揺れていく。そんな感じでしょうか。設定からすでに、賛否両論の予感。否があるのは当然でしょうね。
でも私は冷たい人間なのでしょう。こういう考え方は合理的で好きです。臓器売買の新しい手段。自殺志願者だけに募るところに好感が持てました。私、変かしら。手続き諸々もすんなり。何よりこの小説はとても読みやすいのです。読了まであっという間でしたもん。
ヤスオは臓器を提供するのかしないのか。それは読んでからのお楽しみですが、彼の心情はとても人間っぽかったと思います。損得もあり、良心もあり。茜ちゃんにもっと魅力があったら良かったなぁ。設定だけで乗り切っていた感が否めません。
ハンドル云々のあたりで少しトンデモ展開を感じました。終盤は苦しかったかなぁ。ラストのキョウヤは不可解。その小説的展開は私の好みじゃなかったです。あれ、結局辛口になってしまっているかしら。
Reportの章なんかは、無機質な感じがして好きでした。こういう人生があったって、別に良いんじゃないのかな。知らないほうが良いことって、きっと世の中にたくさんある。
総じて、悪くなかったかな。
彼が次の作品を書くならば、読もうと思えるくらいには好きです。ただ、ブックオフに並ぶまで待つとは思いますけどね^^
ひたすら読みやすかったし、それこそ読書に興味の無い人たちが、水嶋ヒロの名前に惹かれて読むのは、決して悪いことではないと思います。いくら水嶋ヒロが好きでも、ここには齊藤智裕しかいませんしね。芸名かっこよくしすぎでしょ。