おおかみこどもの雨と雪

おおかみこどもの雨と雪

監督:細田守
脚本:細田守、奥寺佐渡
原作:細田守おおかみこどもの雨と雪
キャスト:宮崎あおい大沢たかお黒木華西井幸人染谷将太麻生久美子谷村美月、他


人間の姿で暮らす“おおかみおとこ”に恋をした大学生の花。やがて妊娠し、雪の日に女の子の、雨の日に男の子の《おおかみこども》を産む。姉弟は雪、雨と名づけられる。ところが、ある日突然“おおかみおとこ”が帰らぬ人に。遺された花は子供たちを人間として育てるか、おおかみとして育てるか悩み、山奥の古民家に移り住む。日々成長する快活な雪と内気な雨。小学生になった2人にそれぞれ転機が訪れる。


時をかける少女」、「サマーウォーズ」で有名な細田守監督。なんて、私はついこないだ「サマーウォーズ」をテレビで見てちんぷんかんぷんだったんですけども。「おおかみこども」はキャストに惹かれたのと、周りの影響で観ました。したら、観てよかった。すごく良い映画でした。


声優を見る限り、皆さん本業は俳優女優。そういったアニメ作品に多いのが、台詞が浮いていること。でも、今回それが全くありませんでした。宣伝の影響もあって、花は思いっきり宮崎あおいさんでしたが、彼女の雰囲気にとても合っていたのでありっちゃありかな、と。宮崎さんが好きじゃない方だったら嫌なのかもしれません。


素人ながら、映像がめちゃめちゃ綺麗でした。
テレビで特集をやっていたとき、アニメーションの難しさを知りました。それを見ていたので、より映像に感銘を受けました。


ストーリーでは、ちょいちょい疑問点はあるものの、しごく自然な流れなのではないかと思いました。「おおかみこども」というファンタジーなのに、現実に馴染ませていることに好感が。ファンタジーは苦手なのですが、こういうやり方はとても好きです。


エンディングも良かったです。この物語はどう終結するのか疑問に思いながら観ていたのですが、大満足の終わり方でした。「洗いたての空」という表現がとても好き。


では、この先少しだけネタばれがあるかもしれません。


姉が雪で、弟が雨。
なら、どうして「おおかみこどもの雪と雨」ではないのか。
それは2人の成長の仕方にあったのではないでしょうか。2人ともおおかみこどもである自身を悩んでいましたが、その悩み方もそれぞれ。性別の違いも自然と現れている気がして、すんなり入ってきました。


幼少期の2人がとにかくかわいい。
おおかみになるやんちゃな雪と、自然に溶け込めない気弱な雨。雨が花に甘える姿にキュンとするのは観た人共通なのでは。あの雨が、と思うと、最後の雄たけびに感動せずにはいられません。おおかみとしては大人、と言いますが、雨は人間としても大人になっていたような。


雨の成長の仕方に悩む花がもう少し見たかったかな。終始、花は良い子すぎると思いました。2人がおおかみとしても人間としても生きられるように、田舎に引っ越した花だけど、そこで生活するための努力は母だからだけでは済まされない程凄まじい。それでいて元凶とも言えるおおかみおとこが死んでしまっているのだから、愚痴のひとつも言えやしない。それでもあんなに良い子なことに、好感も尊敬もありますが、それだけじゃないかも。


でも、3人で仲良くはしゃぐ姿は素敵で、何度も泣きそうになりました。どの場面で泣いたか覚えていないほど、色んな、なんでもない場面で泣きそうに。花の子育てに関する嫌〜な推論もあるようですが、そんなこと考えないほうが絶対に楽しめる。良い映画を観たなぁ、と素直に思えたので、私としては大満足です。これは全然もう一度観れるレベル。麻生久美子さんの声とか、意識して聞きたいもんなぁ。