神様のカルテ3/夏川草介

神様のカルテ3/夏川草介

神様のカルテ 3

神様のカルテ 3

神様のカルテ」を読み終えるのはいつも明け方です。
夜読み始めて、そしたら最後まで読まずにはいられないから。
いや、最初の50頁くらいは2〜3回くらいに分けて読んだんですけどね、そこから先は一気読みです。3巻までいけば飽きると思っていたのですが、とんでもない、3巻が一番良かったです。


それから、早く冬になってほしいと思いました。
冬の寒い時にこの物語を読みたかったなぁ、と。小説の中の季節が冬だからでしょうけど、どうもそれだけじゃないような。


映画「神様のカルテ」も好きです。
映画館で2回観て、DVDでも1回観ました。
DVDを購入してしまおうと思っているのですが、微妙なお値段なのでタイミングがわかりません。いつでもいいし、いつでもいいから、今じゃなくていいし。うーん、難しい。


そんなわけで、最近では映画「神様のカルテ」に親しんでいたので、キャストが頭を離れません。特にハルさん(宮崎あおい)、東西さん(池脇千鶴)、大狸先生(柄本明)の3人が。そして3巻では新キャラ小幡先生が登場しますが、私の中では小西真奈美さんに決定いたしました。コニタン好き。もう映画化はしないと思いますけどね。するならドラマかなぁ……。嫌だなぁ……。


神様のカルテ3」、かなり良い小説です。
品も、ユーモアも、登場人物の魅力も満点。読後感も良いし、内容も、1巻2巻に勝るとも劣らない、そんな素晴らしい小説です。1巻では文章に違和感を抱くこともありましたが、2巻3巻ではほとんどありません。美しい日本語を話すハルさんの言葉でそれがあるのは、とても残念なんですけどね。


3巻から読むなんてもの好きはいないだろうけれど、1巻から読み続けているからこその感動シーンもちらほら。特に5話のラストとエピローグは泣きそうになりながら読みました。エピローグは完全に不意打ちでしたし、単行本として、盛り上げ方が上手いなぁと思いました。


一話ずつの内容が濃いのも魅力です。
1話〜5話まで一貫して新キャラ小幡先生との物語ですが、それぞれの患者さん、既存キャラの使い方(2話ではあの東西さんが……!)、ハルさんや御獄荘の住人とのやりとり、イチさんの治療などなど。出し惜しみ感の無さが良い。この内容で1500円は安いのではと思わせるほどです。


神様のカルテ」に出てくる人は、みんな優しい。みんな好き。
イチさんが記憶する文豪の言葉はイチさんを通して読者の心にも働きかけると思います。読んでいるときは「この言葉いいなぁ。覚えておこう」と思うのですが、読み終わる頃にはすっかり忘れているダメな私ですが、読み返したらまた同じところで思うのだろう。それにしても、私にもハルさんのような細君が欲しいものです。細君が。


感想は以上ですが、宣伝について少し。


残念なところをあげるならば、それは宣伝です。
4話でイチさんが下す決断を、私はどこかで聞いていました。「栗原一止、●●●」のような文体で。それは私がイチさんから直接聞きたかった。こういう嫌〜な宣伝って、本でも映画でも多いですよね。


帯もそう。
「医者をなめてるんじゃない?
自己満足で患者のそばにいるなんて、
信じられない偽善者よ」

という言葉が綴られた帯ですが、本を読んで驚きました。
これは何?要約?
長い台詞をこれだけにまとめただけならまだしも、文章自体変えています。「自己満足で患者のそばにいるなんて」なんて言ってない。引用しているのだとばかり思っていて、なんだか微妙な言葉だなぁと感じていたのです。読んでみれば、とても重要なシーン。うーん、こんな帯ならなくていいのになぁと思うのは、私だけなのかしら。