クラウドクラスターを愛する方法/窪美澄

クラウドクラスターを愛する方法

クラウドクラスターを愛する方法


あけましておめでとうございます。
お正月は実家に帰省しておりましたが、本日戻って参りました。
新年一発目の記事は、帰省の列車(と言いたかった)で読んだ本にしたいと思います。


私、この本の内容をまったく知りませんでした。
だから、発売から数カ月後の今、帰省中に読んだ自分に感動したわけです。なんだか運命感じてしまったわぁ。


これから読む人も、できれば正月気分が抜けないうちに読んでほしいと思います。もちろん、真夏に読んだって素敵でしょうけども。


クラウドクラスターを愛する方法。
プラズマクラスターと混同してしまいます。
クラウドクラスターとは、積乱雲のこと。


毎回思うけれど、窪さんの本はタイトルが素敵だなあ。
先日のトークショーで『ふがいない〜』は表題作から『ミクマリ』にしたかったという裏話を聞いて驚きましたが。それもいいね。


三作目の『クラウドクラスターを愛する方法』が最も心に響きました。
主人公さとちゃんと私とでは生き方がまるで違う。でも、同じ部分は絶対あるのだ。きっと誰にでも。


「両親が離婚してお母さんがいなくて大変だったでしょうと言われると、そんなことないですって答えちゃうし、今は親が離婚してる子どもなんて珍しいことじゃないって言われると、つい反発したくなるしね。この年までそんなこと考えて、恥ずかしいと思うこともあれば、一生忘れるもんかと思うこともあるし。お母さんにやさしくされてもそう。どう反応したらいいんだか。……昨日の夜だってひどいこと言って」


すごーく印象に残る人物がたくさんいた。
ほとんど出ていないさとちゃんの弟だって、すごーく存在していた。


浪人生の息子さんがいらっしゃるという窪さん。
「母」の難しさを小説で語りながら、優しい母という印象でした。
私の中3時の担任に似ていたなあ。家庭科の先生です。


でも、人を作っているのは、もちろん家族だけではない。
向井くんはとても人間くさかった。立花さんは関わったことのないタイプで不気味だった。さとちゃんは哀しくて、少しかっこよかった。


同時収録の「キャッチアンドリリース」について……小学生は苦手だ。
こちらも離婚がひとつのキーワードになっているようです。